SERIALIZATION【連載:ヨガスタジオのこれから】

【末永くヨガインストラクターでいるための視点の持ち方】

ヨガインストラクターの方にお金の話をすると「ヨガはビジネスではない!」と言われることがあります。

ですが、稼ぐことは大切です。なぜかというと、サービスを提供し続けるためにはお金が必要だからです。
ヨガがストレッチやエクササイズと大きく異なるのは、より良く生きるための哲学やライフスタイルを含んでいる点です。そのため、ヨガインストラクターさんの中には、ヨガは神聖なものであり、なるべく安く提供して広く人の役に立つのが美徳、と考えている方もいらっしゃいます。

しかし、1人でもあなたのヨガレッスンを受けたいと言ってくれる人がいるのであれば、お金が理由でヨガの提供ができなくなる、なんてことはあってはならないのです! あなたのヨガを楽しみにしてくださっている方のためにも、しっかりお金をいただいてヨガを伝え続ける環境を作る必要があります。

私もヨガ哲学を学んだ際に「ヨガでお金をもらうのは良いことなのか?」と疑問に思ったことがあります。一般的に、何かを提供した対価としてお金をいただくのは当然のことです。ですが、ヨガを真剣に学べば学ぶほど、お金と関連づけることになぜか気が引けるようになってきました。

そこでヨガ歴30年以上のインド人ヨガ哲学の講師に尋ねてみたところ、彼は「ヨガは続けることで効果が出るもの。お金がないと、伝え続けることは難しいですよね? だからヨガをお仕事にしてお金をもらうのは悪いことではないですよ。ただし、先生から学んだヨガの方法やメリットを生徒に伝えるだけでお金をもらうのは良いことではありません。あなた自身が練習を通して学んだことを生徒に伝え、いただいたお金でもっと学びを深めていけるのであれば、それは良いお金の流れですと答えました。
ヨガの本場・インドのヨガ講師でさえ、「ヨガでお金をもらうことはいいこと」と言っています。

では、ヨガを提供して利益を生み出し続けるためには、どうすれば良いのでしょうか?
今回は、稼ぎ続けるために意識してほしい「顧客生涯価値」についてお伝えします。

◆顧客生涯価値とは◆

顧客生涯価値とは、LifeTime Valueを略してLTV、またはCustomer Lifetime Valueを略してCLVと呼ばれます。「1人のお客さんが生涯でどのくらいの価値(金額)をもたらしてくれるか」という考え方です。

詳しく解説する前に、なぜこの考え方が必要かを紹介します。
顧客との付き合いは「広く浅く」より「深く長く」
これからの時代、顧客生涯価値を高めることがますます重要になってきます。
その理由は3つあります。


1.新規顧客の獲得がどんどん難しくなる

今の日本は少子高齢化がどんどん進んでいます。高齢者が増えるので、健康のためにヨガをする人が増える可能性も考えられますが、全体的な人口は減っていきます。人口減の状況で、新規の生徒さんを増やしていくのは至難の技です。

たとえば「100回デートする」という目標を立てたとします。
1人と1回デートする場合、100人とデートする必要があります。100人とデートするためには、少なくとも100人以上の人と接点を持ち、デートに誘うか誘われるかしなければなりません。成功率が50%だとしても、200人と接点を持つ必要がありますね……。考えただけでも大変そうです。

ですが、目標を達成するには10人と10回、または1人の相手と100回デートしてもいいのです。
出会う人数は100人とデートするよりもずっと少ない数で済みますし、そのなかの10人、または1人に満足してもらう方法を考えればいいわけです。そのため相手のニーズを満たしやすく、次のデートにもつなげやすくなります。

そう考えると、多くの人と接点を持つよりも、少ない人数でも長く付き合える関係を構築する方が圧倒的にラクです。
デートを例にして考えましたが、集客や売上を増やす考え方も基本は同じです。

次回は、残りの2つの理由をご紹介していきます。


 次回更新予定:11月29日(月)【購入のハードルが低いのは既存の顧客】