SERIALIZATION【連載:ヨガスタジオのこれから】

【末永くヨガインストラクターでいるための視点の持ち方】

◆顧客生涯価値を高めるべき理由◆


2.購入のハードルが低いのは既存の顧客

初めて会った人に「ちょっと話を聞いてください」と言っても、時間を取って話を聞いてくれる確率は限りなく低いです。でも、すでに良い関係が築けている相手であれば「なになに? どうした?」と興味を持って聞いてくれる可能性は高いですよね。
ヨガの生徒さんの場合も同様です。初めて接点を持った人に、あなたのヨガに興味を持ってもらうのは大変です。ましてや、ヨガレッスンを受けてもらおうとするなら、さらにいくつものステップを踏む必要があるでしょう。

ですが、すでにレッスンに通ってくれている既存の生徒さんであれば、新しいワークショップなど追加サービスを購入してくれる確率はぐっと高まります。

1.新規会員に体験レッスンに参加してもらう
2.既存会員にワークショップに参加してもらう

集客しやすいのは圧倒的に2です。
もしあなたがワークショップなどほかの商品購入をすすめても苦戦しているなら、通常レッスンで生徒さんのニーズに応えられていないのかもしれません。

生徒さんが本当に満足してくれていたら「またこの先生のヨガレッスンを受けたい」「もっとこの先生から学びたい」と思うはずです。本当においしい料理を食べたとき、「またこのお店に来たい」「違うメニューも食べてみたい」と思いますよね。ヨガレッスンも同じです。

ヨガインストラクターとして生計を立てていくためには、レッスンに来てくれた生徒さんの満足度を高めることが大切なのです。新規顧客を1人獲得するためには、既存顧客1人あたりの単価を高めることより、数倍プロモーション費用がかかるといわれているほどです。


3.全体の20%の顧客が売上を支えている

「2:8の法則」を知っていますか?
全体の20%の人がその他の80%を支えているという考え方です。

ビジネスでも上位20%のお客さんが売上の80%を占めていることが多いのです。同様に、あなたの生徒さんの20%の方が、リピートやワークショップなどのイベントに参加することで全体の80%の売上を支えてくれています。

あなたが最も大切にすべきは、この生徒さんたちです。
では、この20%の生徒さんの顧客生涯価値を高めるために、どのようなことを考えていけばいいのでしょうか?


顧客生涯価値に関する3つの数字を要確認!

顧客生涯価値は、次の式で成り立っています。

顧客生涯価値=単価×回数(頻度)×継続期間

つまり、「単価」「回数(頻度)」「継続期間」の3つを増やすことで、顧客生涯価値を高めることができるということです。1つずつ順番に解説していきます。


【単価】
単価とは、来店1回の平均購入額です。ヨガインストラクターさんやヨガスタジオの場合、「1レッスンあたりの参加費」といえます。
「単価」という話をすると、「レッスンの参加費を高くするの?」と思う方もいるかもしれませんが、ここでは価格設定の話をしたいわけではなく、「アップセル」「クロスセル」の考え方を取り入れてみましょう、という提案です。

アップセルとは、いつも購入してもらっているものよりも、高価格な商品・サービスを用意し、購入してもらうことをいいます。

ちまたのヨガインストラクターの間では「ティーチャートレーニングをしないとスタジオは儲からない」という話がありますが、これはある意味事実です。なぜなら、ティーチャートレーニングは資格が取得できる、体系的にヨガを学べるなど、付加価値の高いものを提供しているので、通常のレッスンに比べて利益率を高く設定できるからです。

通常のレッスンしか提供していない方は、ワークショップやリトリートなど、いつもより高価格で利益率が高い商品やサービスも検討しましょう(※コロナ禍でリトリートは開催しづらくなりましたが、オンラインで開催しているスタジオもあります)。

クロスセルとは、いつも購入してもらっているサービスや商品と組み合わせて使うことのできる、別の商品購入を促すことをいいます。

ヨガインストラクターさんのなかには、ヨガマットやプロップスなど、ヨガに必要となるグッズを販売している方もいます。
「どこで買っても一緒だから、わざわざ自分が売らなくても……」と思うかもしれませんが、あなたのことを本当に好きな生徒さんは、あなたのおすすめを買いたいのです。あなたが心からすすめるこだわりの商品を集めて「先生がすすめる商品だから買いたい」と言ってくれる生徒さんに喜んでもらいましょう。

次回は、顧客生涯価値の「回数(頻度)」と「継続期間」についてご紹介します。


 次回更新予定:12月6日(月)【あなたの生徒さんの平均来店頻度はどのくらいですか?】