SERIALIZATION【連載:ヨガスタジオのこれから】

【末永くヨガインストラクターでいるための視点の持ち方】

◆顧客生涯価値を高めるべき理由 ~全体の20%の顧客が売上を支えている~

【回数】
あなたの生徒さんの平均来店頻度はどのくらいですか?
この頻度を高めることで顧客生涯価値を上げることができます。

少し話がそれますが、私は今コーチングを受けています。通常、コーチングの頻度は月に1回または2回など、自由に選べます。ですが、コーチに「月に1回でお願いしたいです」と言ったら、「月に1回はだめです! それだと私は受けられません」ときっぱり断られました。
理由は「月に1回では効果がないから」とのこと。「月に1回1時間で予定していたのであれば、1回30分でもいいので月2回にしてください」と言われました。

セッション時間の合計は同じ1時間ですが、コーチの立場に立って考えると2回に分けたほうが負担が大きいはずです。なぜかというと、スケジュールの融通が利きにくくなったり、セッション前に都度準備が必要なったりするからです。それでも、クライアントにとっての効果を一番に考えて提案してくださったことが、私はとてもうれしかったです。

ヨガも月に1回ではあまり効果が得られません。ヨガインストラクターさんならご存知ですよね? では「月に1回では効果がないので、うちでは受けつけません!」と言えるヨガインストラクターさんは、どのくらいいらっしゃるでしょうか?

ヨガレッスンの頻度を高めることは、生徒さんにとってメリットとなるはずです。とはいえ支払うお金も増えるため、生徒さんに「もっと来てください」とは言いにくいですよね。

たとえば、オンラインヨガが進んだ今なら、スタジオとオンラインの併用も可能です。ヨガスタジオでのヨガは、音楽でのライブのようなもの。呼吸やエネルギーなど微細なものを感じとり、同じ時間を共有する方々とのコミュニケーションから学びを深めるには、スタジオで直接先生からレッスンを受けることが最適です。そのため、月に2回はスタジオに通いヨガを体感し深めてもらいつつ、日常的なレッスンはオンラインで比較的安価で提供するといった方法も考えられます。
アイデア次第で方法はたくさんあります。来店頻度を増やす仕組みを考えてみてください。

【継続期間】
今の生徒さんとは、どのくらいの期間の付き合いがありますか?
ヨガこそ、顧客生涯価値のなかの「継続期間」を延ばすのに向いているサービスです。
なぜなら、若い方よりも年齢を重ねた方のほうが健康意識が高まり、ヨガのもつ効果を体感できる人が増えるからです。

私はヨガインストラクターのサポートをしていますが、仕事、結婚、出産など、ライフスタイルの変化によって退会した方がまた戻ってくることがよくあります。

継続期間を長くするためには、サービス構成を考える必要があります。
たとえば、マタニティヨガは一定期間しか必要ないため、毎回新規の生徒さんを探さなければなりません。ですが、産後ヨガ、更年期の方向けのヨガや女性特有の悩みに対応するヨガなど、妊娠期間以降の時期もフォローするヨガを提供できれば、1人の生徒さんと長く付き合うことができます。

ただ、クラスの種類を増やすと、その分習得すべき知識やスキルも多様になります。どこをあなたの得意分野にして勝負するかは要検討です。マタニティや産後といった期間ではなく、「女性の体」や「体の引き締め」など、分野や効果などで生涯に渡って生徒さんをサポートできる強みを見つけるのがおすすめです。

ポイントは「一緒に歳を取っていけるかどうか」です。
あなたが今40歳であれば、体力低下や女性特有の悩みを抱える方が多いでしょう。ですが、20年後はあなた自身も生徒さんも、また違った悩みを抱えているはずです。
そのときに、あなたは変わらず40歳のサポートをしたいのか、できるのか、あるいは60歳になった生徒さんをサポートしたいのか、どんなサポートをしたいのか。そんな視点を持っておくことが、インストラクターとして長く活躍するために大切です。


◆本当のファンは新たなファンを連れてくる◆
顧客生涯価値は「1人が生涯で『支払う金額』」と考えられがちですが、「1人が生涯で『もたらす価値』」と考えると、もっと大きな視点で考えることができます。
あなたが新規顧客の獲得をがんばらなくても、既存の生徒さんが友だちや知人など新規顧客を連れてきてくれることがあります。
本当のファンは新たなファンを連れてきてくれるということです。