毎月300名以上の子どもたちに
ヨガを伝えるキッズヨガの革命児
まだ「キッズヨガ」という認知がほとんどなかった12〜3年前から、子ども向けにヨガを始められた山口有佐(やまぐちありさ)先生。今では長野市内の放課後支援施設53ヶ所でのクラスをはじめ、小学校・中学校の授業にも取り入れられるほど、活動を広げられています。そこにある想いと、成功の秘訣についてお伺いしました。
まだ「キッズヨガ」という認知がほとんどなかった12〜3年前から、子ども向けにヨガを始められた山口有佐(やまぐちありさ)先生。今では長野市内の放課後支援施設53ヶ所でのクラスをはじめ、小学校・中学校の授業にも取り入れられるほど、活動を広げられています。そこにある想いと、成功の秘訣についてお伺いしました。
埼玉県上尾市出身。2014年より長野県長野市に移住。
・飯綱高原森のヨガスタジオPLAVAオーナー(https://www.iizuna-plava.com)
・子どものための出張ヨガ教室えがおkids主宰(https://www.egaokids.com)
・長野子どもたちにヨガを伝える会代表(https://yogawotutaeru.amebaownd.com)
元・一般社団法人がっこうヨガ推進委員会理事
・一般社団法人 こどものポッケ 代表理事(2022年7月中旬発足予定)
長野市から「体力向上グッとプラン」という3か年計画の一環で事業委託を受け、小中学校での体育や総合の授業でヨガを教えています。また市内53カ所の放課後支援施設でキッズヨガを提供しています。あとは、地域の保健センターで幼児や子育て中のママさん対象の講座をしたり、子どもを支える大人の方向けのマインドフルネス講座なども開催しています。
学校でのヨガは続々と依頼が増えてきていて、コロナ禍で子供たちの日常が様変わりしている中、キッズヨガの需要がかなり伸びているのを感じています。
そうですね。私はレッスンの前に、指導計画、要は一つの台本を必ず作るようにしています。学校には「学習指導要領」というものがあり、身体と心の繋がりに気づき健康意欲を高める活動の必要性が目標に掲げられてますから、それと照らし合わせて作っています。そのため、先生方にキッズヨガの指導計画をみていただくと、「まさに授業でやりたかったことです!」と共感していただくこともあります。担任の先生とも、一緒に先を見通すことができ、コミュニケーションが取りやすくなります。
ただ、とにかく同じ小学三年生だとしても、1時間目と6時間目ではまったく状況が違うんです。朝は元気いっぱいに学校に来ていますが、6時間目だともう結構疲れていて、帰りたいなあ、という雰囲気もあり、抵抗を受けるケースもあります。そういう時は、「今日は疲れたね。」「新しいことを取り入れる気分じゃないよね」など生徒の気持ちを言語化して、距離が縮まる工夫をします。
ヨガは「大人がするもの」、はじめのうちは「動かなくて楽しくない」と思う子もいますが、テンポを大事にしながら、面白楽しく動くヨガの遊びをちりばめると「おや?」と表情が変わり、ポーズの応用として「ヨギーさん(だるまさん)がころんだ」などゲームなどを行いますので、イメージもすぐに壊れちゃうようです。
いえ、最初は多くの方と同じように、大人向けのレッスンをしていました。当時勤めていた学童の保護者の方などに教えたりして。
ただインストラクターになって二年目くらいにキッズヨガの存在を知りました。以前から子どもたちが大人の都合に合わせすぎて自分を見失っているような感覚があり、思春期に友達関係や親子関係に苦労しながら居場所が見つからなくて荒れてしまうか、内にこもったり、自分を追い詰める等不安定な子ども達に出会っていた経験から、ヨガは「あなたはあなたでいいんだ」と言えるツールだし、言葉ではない部分で安心な場を作れるので、子供に絶対に必要だと確信しました。大人を変えるだけでは間に合わない、ということを強く感じていたので、すぐにキッズヨガの世界に飛び込みました。
そこから意気込んで、すぐに子ども向けのレッスンを始めたのですが、最初は参加者0人でした。子どもはヨガが何なのかわからないし、親も説明できないし、そりゃ来ないよなあ…と反省。
そのクラスはすぐにたたんで、今度は方向転換してイベントを開くことにしました。すでに他のジャンルで親子向けイベントを開催している方に声をかけて、共同開催させていただくことにしたんです。
そうですね。初めてのレッスンは本当に緊張しました。柔らかくしてあげないといけない私がもうガチガチで。受け入れてもらえるかな、という不安の中でやっていました。でも、参加者さんが本当に楽しかった」「こんな心地いい時間を持てるなんてすごいですね!」という評価をいただきました。
そこからクチコミでレギュラークラスの参加者も増え、学校は行かないけどヨガには来るという子も現れて、だんだん子供たちの「居場所」になっていったのがありがたかったです。
はい、都合により長野に引っ越すことになり、地盤もない中、またゼロからのスタートになりましたが、これからは人生で一番やりたいキッズヨガに特化していこうと決めていましたので、迷いはなかったです。
ただコネクションがまったくなかったので、まずは子どもがいる場所に飛び込んでいこうと思い、当時0歳だった下の子を背負いながら、放課後の学童や地域のスポーツクラブ、子育て系サークルやNPOに挨拶に行き、ひたすらキッズヨガの話をしていました。
長野市には地域の方を活用しようという制度があり、私も登録して一度レッスンを開催したところ、実施した施設の館長さんを通して、地域の館長さんが集まる会議でプレゼンの機会をいただきました。そこで館長さん達にもキッズヨガを体験していただいたのですが、大変気に入っていただき、2箇所だった開催地が一気に20箇所に増えました。
そうですね。ヨガ講師育成トレーナーとしての活動もしていたので、修了生の方々の活動の場を作る意味でも、放課後教室のアシスタントをしてもらったり、場所が増えすぎて私がいけない場所を任せて、内容を監修したりして組織にしていきました。放課後の子どもたちは疲れていて指導が大変なのですが、修了生を励ましながら、子どもたちとの対話ができていたか、状態を想像していたか、自分よがりな態度で行っていなかったか、など、お互いフィードバックすることでチームとして乗り切っていきました。
そうですね、私は毎回必ずプレゼン資料を作って持ち込むようにしています。そこでは自分の想いだけではなくて、今の状況をどう感じていて、それについてヨガがどう役立つのか、自分がどんな実績を積んできたのかを客観的にまとめています。
また、提案する施設や場所に合わせて、どんなアプローチでどんな効果を出すことができるのか、できるだけ実際のデータも絡めながら紹介します。それによって、話を聞いていただけるきっかけになり、導入に至るケースが多いです。
そうですね。実施させていただいた施設の職員や先生がたも、子どもたちが放課後教室で喜んでいる様子を見て評価してくれて。そこで、「私、実はこれを放課後じゃなくて学校でやりたいんです」と伝えたところ、学校の先生と放課後教室の先生の話し合いの場で、キッズヨガや私を推薦してくれました。
紹介された知らない場で自分をプレゼンすることは、アウェイ感もあり怖さもありましたが、キッズヨガは必ず喜んでもらえるものだと自分に言い聞かせてやっていました。子どもたちもいっぱいプレゼントや手紙をくれたり、ヨガ前とヨガ後の絵の変化を保護者の方に見せたりして、効果を実感していただけたことも後押しになりました。
とにかく、その場の子どもたちの状況に合わせて行うため、プログラムもその場で変化させていきます。立位でやろうと思っても、今日は違うと思えばシャヴァーサナに変えたり。大人のクラスでもやると思いますが、子どものクラスではよりそこを注意しています。
日々、やるべきことにあふれ、刺激のあふれた環境の中、ヨガの時間は上手に行うことにフォーカスするのではなく、呼吸に合わせて内観する心地よさ、それぞれの方法でリラックスしたあとの穏やかさを少しでも感じてもらうことで、ほっとしたりしながら本来子どもの持っている良さを引き出せるよう心がけています。
「学校でヨガを行う際、子どもたちが扱いやすく助かっています。
子どもにはマットを丸める作業が意外と難しく、折り目がついていることで簡単に畳むことができるところがいいですね。
40枚ほど持ち歩くので、軽量なことと収納時に場所を取らないこと、また大勢の児童が使用をしても掃除しやすいのも気に入ってます。」
日本中の学校でキッズヨガが当たり前になって欲しいです。もしかするとヨガじゃなくていいかも、という話になるかもしれませんが、私自身、情報社会の中で自分を見失ってしまった時にヨガに助けられましたし、その想いを子ども達に体験として感じてもらいたい。色々なことが起きる中で、自分で乗り越えていける力や可能性を持っているんだという小さな成功経験をたくさん増やし、もともと持ち合わせている自己肯定感が上下する事はあっても、そういう自分を俯瞰したり、保ち続けれられると思える体験が必要と思うんです。
今の時代、子供たちが裸足で野山を駆け回り、おひさまのあたたかさや、足の裏の感覚、皮膚の感覚を感じて気持ちよく過ごす体験が減っています。ですが子どもの頃からヨガを行うことで、五感にふれる機会を増やし、その後の体の感覚や健康への意識、環境に向かう気持ちも変わっていくと思います。
一見、非日常的なヨガの動きには、人間が本来持っている原点に戻させてくれる効果があると考えます。子供たちの成長を支え、心の健康を持ち続けられる大切なツールとして、キッズヨガは非常に高い可能性を持っていると信じています。
<取材・文=河本真由子 / 写真=ご本人提供>
「子供達にこそヨガを」と学びを深め、行政機関へと持ち込んだ山口先生。
ご自分のお子様を片腕に抱き、市役所に直談判しに出かけたお話は、まるでドラマの1シーンのようです。
上手くいかなくてもあきらめない姿勢や熱意が実を結び、多くの学校にキッズヨガを取り入れる事が出来た山口先生の行動力はまだまだ止まらず、今日もまた市内各所を巡られています。
子供たちへの思いがキッズヨガへの想いとなり、強い熱意と使命感、行動力、どんな試練でもあきらめない忍耐力で突き進まれている「キッズヨガの革命児」。
山口先生から、ヨガを志す者としての在り方を学ばせていただいた気がします。
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